1.はじめに

昨今、映像を使った会社・組織の教育や研修が増えてきました。スマホやタブレットが普及し、リモートワークも当たり前になった現在、教育や研修も配信で行おうというのは自然の流れです。しかし、今までそうした映像による教育研修や配信を行ったことがない場合、動画の制作から配信方法など、わからない事がたくさんあるかと思います。そこで、これから動画を使った教育研修を行おうとしている会社・組織の方々のために、動画セミナーのやり方についてご説明したいと思います。よろしくお願いいた します。

2.動画セミナーのメリット・デメリット

2-1. 動画セミナーのメット

まずはじめに、動画セミナーのメリットを確認したいと思います。

①顧客の信頼感をアップさせる

 あなたは顔も声も知らない人に、いきなり個人的な事を相談をしようとは思いませんよね?動画を使ってあなたの顔や声を視聴してもらうことで、信頼感をアップすることができて、その後のコミュニケーションがスムーズになります。
 「メラビアンの法則」をご存知でしょうか?人間は人と話しをする時に、「言語」「聴覚」「視覚」の3つの情報から相手を判断しており、その割合は「言語=7%」「聴覚=38%」「視覚=55%」なのだそうです。つまり、話している内容よりも、話している人の表情や外見から受ける影響が圧倒的に大きいとういことです。動画を使うメリットは正にここにあります。動画の中で顔を見せて視聴者に語りかけることで、言葉以外の情報も相手に与えることができて、信頼感をアップさせることができるのです。

②的確に情報を与えることができる

 動画を使うことにより、視聴者に対してより多くの情報を的確に伝えることができます。
動画が60秒で伝達できる情報量は、Webページ3,600ページ分に相当すると言われています。それだけ膨大な情報を短時間に発信することができるのです。それだけでなく、声の抑揚や表情を変えることで、大事な部分を強調するなど、より強く記憶に残る印象を与えることができるのです。

③時間・場所の制限を受けずに相手に情報を伝えられる

動画を使えば、相手がスマホさえあれば、時間や場所の制約なしに、好きな時に好きな場所であなたの動画を見ることができるのです。
 後でご説明するライブ配信や疑似ライブ配信の場合は、決まった時間に配信を行うので時間の制約はありますが、視聴者は自宅でも職場でもカフェでも、どこでも視聴することができます。
 また、動画を視聴する人数も柔軟に変更することができます。YouTubeを使った配信であれば、無制限の視聴者に提供可能です。
 従来の実際に会場で行うセミナーではそうはいきません。会場の場所や時間や広さには制限があるので、セミナーに参加できる人は会場近郊の人で、その時間が空いている人に限られ、会場のキャパシティーがあるので人数制限をしなくてはいけません。

2-2. 動画セミナーのデメット

動画セミナーにはメリットばかりではなくデメリットもあります。

①場合によっては悪い印象を与えてしまう

 動画セミナーは視覚効果が大きく影響を与えるため、例えば暗い顔でボソボソと話していたり、不潔な服装をしていたりすると、逆に悪い印象を与えてしまいます。どんなに話している内容や提供している商品やサービスが良くても、悪い印象を与えてしまったら、その視聴者は顧客になってくれないでしょう。動画セミナーに登場する人は、明るく、聞き取りやすい話し方で、清潔感のある服装にするなど、印象が良くなるように気をつけるべきです。

②コストがかかる

 動画の撮影や編集を外注するとコストがかかります。自分たちで撮影や編集をすればコストはかかりませんが、時間がかかってしまいます。また自前で編集して出来栄えの悪い動画になってしまうと、悪い印象を与えてしまい、逆効果になってしまいかねません。
 また、以外に差が出るのが「音声」です。動画なので映像に目が行きがちですが、実は音声が非常に重要なのです。綺麗に音声を収録するためには、ピンマイクなどを使い音声を収録することが必要です。

3.動画セミナーの形態

動画セミナーの形態には、3つのやり方があります。

  1. ①ライブ配信
  2. ②疑似ライブ配信
  3. ③オンデマンド配信

それぞれどのようなものか見て行きましょう。

①ライブ配信

ライブ配信は、実際に講師の方がセミナーを行っている様子をリアルタイムでインターネット配信=生中継するものです。
ライブ配信のメリットは、セミナーに臨場感が出ることです。実際のセミナーと同じように、講師にとっては一発本番なので、言い間違いなども含めてリアルな情報が配信されるので、視聴者は実際にセミナーを聴講しているのと同じような体験を得ることができます。質問を受付けられる体制があれば、受講者との質疑応答もリアルタイムで行うことができます。また、予め動画を編集する必要もないので、主催者にとっては準備が簡単であることもメリットです。
ライブ配信のデメリットは、受講者の反応が見えないので、講師の方がやりづらいといった点が挙げられます。Zoomなどを使えば受講者の様子も見ることができますが、PCの画面上の限られたスペースでは、多くの受講者の様子を見ることはできません。コロナ禍が落ち着いてきた最近では、セミナー会場にも受講者を実際に入れるのと同時にライブ配信も行う「ハイブリッドライブ配信」も実施されることが多いようです。

②疑似ライブ配信

 疑似ライブ配信は、予め編集されたセミナー動画を、決められた時間に再生し、それをリアルタイムで配信するものです。通常のライブ配信と同じく、早送りや巻き戻しもできません。通常のライブ配信との違いは、流す映像が生のカメラ映像なのか、方や動画なのか、の違いになります。
 疑似ライブ配信のメリットは、予め動画をいかようにでも作成するので、セミナーの内容としては完成度を高めた内容を配信することができる点です。編集によっていかようにでも内容を修正することができるからです。また、講師は一発勝負ではなくなるので、講師にかかるプレッシャーは軽減されます。講師が発表の内容を間違えても、やり直して後から編集で修正することが可能だからです。
 疑似ライブ配信のデメリットは、臨場感が失われ、視聴者にとっては魅力的ではなくなる可能性があります。これはどのように編集するかによっても変わってくるので一概には言えませんが、少なくとも質疑応答はできないので、臨場感は通常のライブ配信より劣ります。

③オンデマンド配信

オンデマンド配信とは、編集されたセミナー動画を配信サーバーにアップしておき、視聴者は好きな時間にそのセミナー動画を見ることができる、というものです。何度でも再生可能で、早送りや巻き戻しも可能です。 オンデマンド配信のメリットは、視聴者にとっては、いつでも自分の好きな時に視聴できるという点です。途中で見るのを止めて、別の日に途中から見るといったことも可能です。 オンデマンド配信のデメリットは、ライブ配信や疑似ライブ配信のような「今しか見られない」といった希少性が失われるので、視聴者を惹きつける力が弱くなる可能性があります。

4.動画セミナーのやり方

それでは次に、動画セミナーの実際の作り方を見て行きましょう。セミナーの内容によって作り方は色々考えられるのですが、ここでは、弊社にご依頼いただくお客様のケースを参考に、一番多いパターンをご紹介いたします。

①ライブ配信のやり方

A) ライブ配信を行う場所を決めます

ライブ配信を行う場所は、セミナー会場を借りる場合もありますし、静かな環境であれば、会社の会議室でも良いと思います。その際に気をつけて頂きたいのが、インターネット回線です。ライブ配信を行うためにはインターネット回線が必須なので、できるだけ安定した高速なインターネット回線があることが望ましいです。どうしてもインターネット回線がない場合は、携帯電話のモバイル回線を使って行うこともできますが、その場合にも、電波状況を確認しておく必要があります。

B) 配信プラットフォームを決定する

ライブ配信を行うためには、その映像をインターネット上で配信するためのプラットフォームが必要になります。配信プラットフォームは、カメラで撮影された映像データをサーバーで受信し、それをインターネット上で視聴できるように配信する、という役割を果たします。配信プラットフォームにはYouTubeやZoom、Vimeoなど、いくつか選択肢があります。各々特徴があるので、使用用途に応じて最適なプラットフォームを選択する必要があります。プラットフォームが決まると視聴用のURLも決定するので、それを視聴者へ告知します。

C) 配信機器を用意する

ライブ配信を行うために必要な機器を準備します。最低限の機器としてはカメラ付きのパソコンがあればライブ配信は行うことが可能です。しかし、「カメラの画質を良くしたい」や「スライド画面とカメラの映像を切り替えたい」、「音質を良くしたい」など、要望が増えてくると、それだけ必要な機器も増えてきます。弊社がライブ配信で良く使用する機器は次のようなものがあります。

配信用エンコーダー
※カメラの映像データを配信用に変換し、配信プラットフォームへ送出する
ビデオカメラ
※WEBカメラではなく、通常のビデオカメラ、HDMI出力が可能なもの
スイッチャー
※カメラ映像とPCのスライドを切り替えたり、ワイプにすることができる
スライド再生用のPC
※PPTなどのスライドを再生するためのPC
ピンマイク
※音声を綺麗に収録するために、ピンマイクをご用意
D) ライブ配信する

ライブ配信の当日、ライブ配信を行う場所に機器を設置し、講師を招き、ライブ配信を行います。

②疑似ライブ配信のやり方

A) 動画を収録する

まず、講師の方の講義の様子をカメラで収録します。ライブ配信と違い、一発収録ではないので、間違ったらもう一度やり直しをすることも可能ですし、パートごとに休憩をとりながら収録することも可能です。しかし、後から編集でつなげる必要があるので、あまり細切れに収録すると、後から編集する手間が増えますし、繋げる部分が不自然になるので、あまりに細切れに収録することは避けた方が良いでしょう。
また、パワーポイントなどのスライドを使って講義を行う場合、そのスライドの様子もカメラで撮影しておくと良いでしょう。そうすることで、後からスライドを映像にして、講師を小窓で表示する「ワイプ編集」がやりやすくなります。

B) 動画を編集する

収録した動画を編集します。冒頭にタイトル画面やセミナーの説明を入れたり、途中で字幕テロップを入れたりします。ただし、疑似ライブ配信の場合は、ある程度は臨場感を持たせた方が良いので、あまり編集で作り込みすぎると、臨場感が損なわれるので注意が必要です。

C) 疑似ライブ配信する

編集したセミナー動画を再生し、疑似ライブ配信を行います。ライブ配信と同じく、配信プラットフォームは予め決めておく必要があります。パソコン1台あれば、疑似ライブ配信を行うことができます。パソコンに編集したセミナー動画を入れておき、配信ソフトで配信をスタートすると同時にセミナー動画をスタートします。これで視聴者の方は、その日時にしか視聴できない疑似ライブ配信を見ることができます。

③オンデマンド配信のやり方

オンデマンド配信は疑似ライブ配信とほとんど同じです。最後の配信の仕方が変わるだけです。従いまして、A)動画を収録する、B)動画を編集するは、疑似ライブ配信の作り方を参照してください。
一点異なるのは、オンデマンド配信は、疑似ライブ配信と違い、臨場感を求めるものではないので、資料映像や図表を入れたりと、できる限りわかりやすい内容となるように、映像を作り込むことも有効になります。

  1. A)動画を収録する・・・前項と同様
  2. B)動画を編集する・・・前項と同様
  3. C)オンデマンド配信する・・・下記参照

オンデマンド配信するには、配信プラットフォームまたは配信するサーバー上に編集したセミナー動画をアップロードします。そして、それを視聴するためのURLを視聴者にお知らせしておきます。
オンデマンド配信を行う場合にも、配信プラットフォームを準備した方が良いでしょう。配信プラットフォームを利用することで、サーバーの混雑を気にせず、よりスムーズな配信が可能となるからです。オンデマンド配信のプラットフォームとしては、YouTubeやVimeoがよく使われます。Zoomはリアルタイムな配信に特化したサービスなので、オンデマンド配信をすることはできません。
配信プラットフォームを使用する以外に、直接サーバー上に動画ファイルを置いて、それを視聴してもらう方法もあります。しかし、その方法の場合、サーバーが接続されているインターネット回線に負荷がかかるため、多くの人が同時に視聴すると、再生がしずらいなどの障害を起こす可能性が高くなるので、あまりおすすめしません。

5.動画セミナーを行うために必要なものの参考例

ここまで見て来ました動画セミナーを行うためには、どんなものが必要になるのか、弊社が使用しているサービスや機材をご紹介いたします。ここで挙げるもの以外にも同様のサービスや機材はあると思いますが、弊社が実際に使用して実績のあるものなので、参考にして頂ければ幸いです。

■配信プラットフォーム

動画セミナーを行うには必ず必要になる配信プラットフォームです。

サービス名 費用 ライブ
配信
疑似ライブ
配信
オンデマンド
配信
YouTube 無料
Zoom 12,700円/月~
Vimeo 1,200円/月~
■配信ソフト

(配信用エンコーダーを使用しない場合)

ライブ配信や疑似ライブ配信を行う時に、PCにインストールして使うソフトです。
下記の配信用エンコーダーを使用せず、パソコンでソフト的にエンコードして配信を行う場合に使用します。

製品名 価格
XSplit Broadcaster 23,000円
OBS Studio 無料
■配信用エンコーダー

(配信ソフトを使用しない場合)

ライブ配信や疑似ライブ配信を行う時に、映像を変換しながらインターネットへ送出する専用の機器です。 配信ソフト=パソコンを使用せず配信を行う場合に使用します。

製品名 価格
LiveShell X 59,800円
Atem mini Pro 41,800円~
■編集ソフト

疑似ライブ配信やオンデマンド配信を行う場合、事前に動画を編集する必要があります。動画編集を行うには次のようなソフトが必要になります。

製品名 価格
Premiere Pro 2,728円/月~
EDIUS 54,655円~
DaVinci Resolve 無料~
■スイッチャー

ライブ配信を行う際に、複数のカメラの映像を切り替えたり、カメラとPCの画面を切り替えて配信を行う必要があります。そのような場合、スイッチャーという機械を使って切り替えを行います。

製品名 価格
Atem mini 27,800円~

6.まとめ

ここまで、主に技術的な視点から動画セミナーのやり方を見て参りました。しかし、実際に動画セミナーを行うには、他にもやるべき事がたくさんあります。セミナーの内容を企画・構成を行い、セミナー参加者を集めるためにDMを打ったり、既存顧客を勧誘する必要があります。そして、セミナー後にはアンケートを行い、次のステップへつなげていく必要があります。それらは、顧客獲得などの目的を達成するための一連のマーケティング活動として実施されるべきであり、専門家である皆様はそうしたマーケティング活動にこそ集中すべきであると思います。技術的なことは、もちろん時間と多少の費用をかければ、ご自身で行うことも可能です。しかし、本筋とは関係がない技術的なことは外注に任せる、というのも一つの考え方だと思います。  YouTubeやインスタグラム、TikTokなど、現在は動画をマーケティングに利用する動きが活発で、その費用対効果も高いことが実証されつつあります。これを機会に皆様も動画セミナーを検討してみてはいかがでしょうか。微力ではありますが、技術的な事で弊社がお手伝いできる事もあるかと思いますので、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

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