動画配信サービス 第2幕スタート
2021/06/01
以前、当社ニュースレターで動画配信サービスを特集してから約3年半が経ち、日本の動画配信サービスの状況は様変わりしました。当時は「Netflix」や「Amazon Prime Video」もサービスが始まったばかりで、まだまだこれから、という状況でしたが、今では様々な分野でサブスクリプションが普及し、動画配信サービスもその流れに乗って一気に普及してきた感があります。今回は改めて動画配信サービスの現状とこれからについて考察し、おすすめの動画配信サービスを探って行きたいと思います。
有料動画配信サービスが有料放送を超えている
映像コンテンツを視聴する手段としては、「放送」と「インターネット」そしてDVDなどの「物理メディア」の3つに分かれます。「定額制の有料」という範疇で考えた場合、放送には「スカパー」や「WOWWOW」、インターネットには「Amazon Prime Video」や「Netflix」、物理メディアには定額制DVDレンタルの「TSUTAYA DISCAS」などがあります。最近の調査によりますと、定額制の有料サービスの利用率ではインターネットによる動画配信サービスが放送サービスを超えたということです。もはや映像はネット経由で見るのが当たり前の時代になってきたということでしょう。
有料動画配信はAmazonとdTVの2強?
次に有料動画配信のサービスの現状を見ると、Amazonのサービスである「Amazon Prime Video」とNTTドコモが運営する「dTV」が利用者数500万人以上で2強という状況のようです。ただしこれは単に利用者数に着目したもので、実際の利用者の話ではありません。「Amazon Prime Video」は、Amazonのプライム会員になると自動的に利用できるサービスなので、純粋に映像コンテンツを見る目的だけで加入しているユーザーではない人も含まれています。dTVもドコモの割引セットオプション契約の流れで利用しているユーザも多いと思われます。
純粋に映像コンテンツ目的の利用者で考えると、「Hulu」と「Netflix」が2強ということになるでしょう。共にユーザー数は150万を超えている模様です。「Hulu」は日本に一早く参入し、日本テレビが資本参入しているので、日本人向けのコンテンツが充実しているので、日本市場で確固たる地位を築いています。「Netflix」は全世界で1億人以上のユーザーを抱える世界No.1の動画配信サービスサービスです。特にNetflix制作オリジナル作品は非常にクオリティが高く、今年はアカデミー賞を取る取らないで揉めるほどにまで既存の映像業界を揺るがすほどです。3年半前にご紹介した時は、サービス開始直後でコンテンツが少なかったのですが、今ではNetflixオリジナル作品も含めコンテンツも充実しています。
専門系サービスも台頭
映画やドラマを主体としたAmazonやNetflixとは異なり、最近では専門ジャンルのコンテンツを配信するサービスも台頭して来ました。サッカーを始めとするスポーツ専門の「DAZN」は、docomoとの提携もあり、加入者数を増やしています。従来スポーツ系のコンテンツはスカパーやWOWWOWなどの専門チャネルで提供されていたのですが、それを徐々にDAZNが侵食している状況です。
もう一つはディズニー系です。docomoと共同展開する「Disney DELUX」は、「ディズニー」「ピクサー」「スターウォーズ」「マーベル」の4ブランドの映像が見られるサービスです。お子さんのいる家庭にとっては、強力なコンテンツとなるでしょう。
音楽系では、YouTubeが「YouTube Music」を提供しています。YouTubeの音楽専門サービスで、YouTubeの中のミュージックビデオを見たり、音楽を聴いたりすることができます。有料サービスを利用することで、バックグランドやオフラインで、広告なしで音楽を楽しむことができます。
いよいよ2大巨頭が本格参戦!
世界的に見ると、動画配信サービスはNetflixの一人勝ち状態ですが、2019年の秋、これに対抗すべく2つの巨大企業がいよいよ動き出します。それはAppleとディズニーです。
Appleは「Apple TV+」という名で2019年11月までに動画配信サービスを提供することを発表しています。Netflixと同じように、オリジナル作品に注力するようで、スピルバーグやJ.J.エイブラムスなど名だたるクリエイターに制作を依頼しているようです。Appleは制作費に約7,000億円を費やす意気込みです。ちなみにNetflixは約1兆6千億円をかけています。桁外れな金額ですね。
一方ディズニーは「Diseny+」という名で2019年11月に動画配信サービスを提供する予定です。ディズニーのコンテンツ力は言うまでもありませんし、米国ではHuluを買収し、ディズニーアニメ以外のコンテンツも充実させるようです。そしてNetflixからディズニーコンテンツを引き上げる・・・という戦略に打って出ます。日本国内ではHuluは日本テレビ系傘下にあり、ディズニーも前出の「Disney DELUX」を提供するなど独自展開をしているので、日本で「Disney+」がどのように展開されるかはまだわかりませんが、そのコンテンツ力からしてNetflixの強力なライバルになることは間違いないでしょう。
今後はどうなる?
このように目まぐるしく変わっていく動画配信業界ですが、今後はどうなって行くのでしょうか?あくまで私個人の予想としましては、世界的に「Disney+」と「Netflix」の2つに集約して行き、Amazonは中立的なディストリビューターとして両社の良いとこ取りをしていくのではないでしょうか。Appleはオリジナル作品以外の動向が見えないので何とも言えないのですが、コンテンツプロバイダー的な位置付けとなり、自社のサービスとしてはサブスクリプションではなく従来のApple TVの延長線上、つまりPPV(その都度購入して視聴)的な視聴形態が中心となるのではないでしょうか。日本国内でも早かれ遅かれ「Disney+」と「Netflix」に集約され、docomoなどがamazonと同じように中立的な立場でディストリビューターになって行くと予想します。
結局どのサービスが良いか?
現状日本国内では各サービスの方向性が若干異なってきているので、視聴目的や趣向によってどのサービスを選べば良いかが異なってきます。
● スマホメインで通勤中など国内コンテンツを見たい・・・dTV |
● たまに映画やアニメなど軽く楽しみたい・・・Amazon Prime Video |
● 海外ドラマなども含め休日や夜中にじっくり楽しみたい・・・Hulu or Netflix |
● 高クオリティなNetflixオリジナル作品をじっくり見たい・・・Netflix |
● スポーツ好きなら・・・DAZN |
● 子供さんのいるご家庭・・・Disney+ |
今後はAppleyやディズニーの参入でまた状況が変わってくると思いますが、各サービスがもう少しづつ安くなればいいですね。例えば、「Disney+」+「Netflix」+「DAZN」の3つを合わせてNHKの月額受信料以下で視聴できるようになれば理想的ですね。
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